平野綾という生き方

遅ればせながらNHKトップランナー平野綾の回を視聴。トップランナーを見るのって久しぶりのような気がしてたけど、たぶん3月の桜庭一樹の回を見てるな。とはいえトップランナーに声優が出るのっていつ以来だろうと思って過去の履歴見てみたら、98年2月の林原めぐみ以来かもしれないのか。アニメ系の監督とか漫画家とかが出てるのに比べるとペースが少なすぎるようにも思うけど、NHK的基準で言う「声優界のトップランナー」っていうとそういうことなのかもしれん。
ていうか、NHKが愉快な過去の映像持ってるのにはバカウケだった。

結構複雑な感想があるんだけど、何か若いなぁという雰囲気を言葉の端々から感じた。いや、実際に若いから当然とも思えるし、NHKの録画の番組ということにも関わらず*1、ものすごく言葉を選びながらしゃべってるのが印象的でした。彼女なりに声優という仕事に誇りと自信を持っていつつ、それでいて掴みかねている部分もあるんだろうなとか、そんなことを考えながら見ました。良い意味でも悪い意味でも、この人は「10年後の自分」っていうのを想像していないんだろうと感じてしまいました。おそらく具体的な未来図っていうのは持ってないけど、おぼろげな想像図はあるっていう方が正確かもしれません。

彼女流の「目標を立てない主義」っていうのは面白いと思ったんだけど、根底では単なるアイドル声優になってしまうことを拒否している部分があって*2、たぶん林原めぐみみたいなタイプがこの人の理想なんだろうな。おそらくよほどのことがない限り単独ライヴとかもやらないんじゃないかと思いました。
そういうポリシーを持っているからこそ、10代半ばで児童劇団から声優になるっていう転換ができたのかもしれません。と同時に『ハルヒ』以前の段階で自分の立ち位置とかあり方について確信めいたものを持てていたんだろうし、だからこそあのハルヒ役ができたんじゃないかなと思いました。

もうひとつ注目したいのは、すでに知られた話題ではあるけど、児童劇団出身でそこからいろんなコンプレックスや思うところがあって声優に転身しているという点。つまりアニメ好きとかから専門学校や養成所を経て声優になったというタイプではないというのも、平野綾の来歴として面白いところです。
別に声優系専門学校とか養成所の存在意義を否定する気はないですし*3、優秀な人材を輩出しているところがあるのも事実ですが、こういう最も古くからあるタイプの声優への道っていうのももうちょっと注目されてもいいのかなと思いました。純粋に小学校くらいの話をしてる時の平野綾の話ぶりが楽しそうだったのが印象的なだけかもしれないけど、それくらいの年齢から演技に対する思いがあったっていうのも重要なのかもしれません。

とにもかくにもランティスに騙されなければ演技派路線で行けるんじゃないかな。すでに『ハルヒ』のイメージが強すぎて、『二十面相の娘』なんかでは少し違和感があるけど、いわゆる「七色の声」と呼ばれるような素質はあるんじゃないかというのは特に06〜07年くらいの一連の出演作で感じてはいたので、ヘタなアイドル化に走らずにいろんなタイプの役をやっていって欲しいもんです。

*1:後からどのくらい編集されてるのかは知らんけど

*2:過去の発言からもそれは感じられる

*3:多少淘汰されてもいいとは思ってますが