「第一回声優アワード」に対する違和感と望むもの
言われてみれば納得できるような結果だと思うんですが、それなりにツッコミどころがあったりします*1。男優／女優部門とかはアカデミー賞とかみたいに役に対してあげるもんだと思ってたんだけど、受賞してる方々の名前を見ると「役」に対してなのか「人」に対しての賞なのかが曖昧というのもまた明らかになったかな*2それから「第一回」と銘打っているということは第二回以降も毎年開催したいという意図があるように感じるんですが、そういった辺りのコンセプトが不明瞭なまま進んでいたような気がします。あとは。ついでに「その年発表された作品の中で」という縛りがある中で、意外とその定義が曖昧だったというのも面白いところでしょうか。
各賞雑感
上から順番に見ていくと、主演男優のルルーシュ＠福山潤と主演女優の大崎ナナ＠朴ロ美は意外と納得のいくところ。ノミネートされてた中だと銀時＠杉田智和とか前原圭一＠保志総一朗、天羽雅音＠能登麻美子とか松方弘子＠田中理恵なんかもいいかなとは思ってたけど、まあいいのかな。詳しい受賞理由を知りたいところではありますが。
サブキャラクターの方はツッコミどころがあって、『ガンダムSEED DESTINY』って放送終了が2005年の秋なのに1年縛りをいきなり反故にされてるっていうのはどういうことなんでしょうか。『吉永さん家のガーゴイル』から若本規夫もノミネートされてるのにそれを抑えて宮田幸季っていうのはどうよ？ というツッコミは関係各所から挙がるのではないかな。カレン＠小清水亜美が朝比奈みくる＠後藤邑子と並ぶほどいいかというのも個人的にはちょっと疑問。小清水亜美も悪くないとは思うけど、『スクラン』『くじアン』とかも併せると評価が高いと言って良いんだけど、だったら後藤邑子も『くじアン』『おとボク』も併せるとより評価が上がっちゃうという微妙なところ。
新人賞で涼宮ハルヒ＠平野綾は、主演女優の方で突っ込めなかったからここにねじ込んだという感が否めません。デビュー5年縛りが長すぎるからアリになっちゃったんだろうけど、この賞の将来を考えると他の人にあげておいた方が良かったような気がします。
歌唱賞とパーソナリティ賞はまあ順当かな。『うたわれるものらじお』から来なかったところにツッコミは挙がりそうですけどね。
功労賞の方はまあいいのかなぁ。ここは1年縛りみたいなルールはないみたいだから、良いと言えば良いんだけど今さら富山敬氏の名前が挙がったというのにちょっとだけ違和感があります。あえてここ1年間にフォーカスするなら、鈴置洋孝氏の名前が挙がってもいいと思ってはいるけど。
シナジー賞で『ポケモン』もちょっと疑問。「作品として声優の魅力を最大限に発揮したもの」っていう選考基準がある中で、経済的な視点や国際的な視点で大きな功績のある作品だということは認めるけど、「声優アニメ」という観点で飛び抜けたものがあるかというとそうでもないと思うんだけどな。ゲストが多彩だったという点で一部納得はできるけど。そもそも選考基準が不明瞭なのかもしれませんが。
見えてきた問題点と第二回への課題
ノミネートが発表された段階でもちょっと思ったんだけど、もうちょっと縛りのルールを明確化してもいいんじゃないかと思います。黒崎一護＠森田成一が新人賞っていうのは意外と違和感なく迎え入れられるんだけど、主演男優の方にノミネートをされてるというのに若干の違和感を感じてしまいます。継続放送中だから1年縛りは回避しているように見えるけど、放送開始が2004年というのを鑑みるとちょっとどうよという感じがしてしまいます。他のこの手の賞、特に映画賞と比較すると公開年や制作年で明確に線が引けるのに比べて、テレビアニメの場合1クールものから超長期ものまで差があるというのが原因だとは思います。いっそ放送開始年で切ってしまうとか、キャラにフィーチャーするのであれば初登場日で切ってしまうというのもありなんではないかなと思います。今後は本当に受賞に値するものであれば、初めて出てきた段階やせめて数話を経た段階で真価が見えてくると思いますし。
同様の理由で新人賞の5年縛りもちょっと長すぎでしょう。とはいえ1年だと短すぎる気もするので、2年か3年がちょうどいいところではないでしょうか。芸歴5年あったらもう中堅の域には達していることが多いと思います。
最も望みたいのは、受賞理由とノミネートされたけど受賞できなかった人の理由を併せて公開してくれると嬉しいでしょうか。芥川賞・直木賞を引き合いに出すのが正しいのかどうか怪しいけど、選考委員会で投票をしたならその内訳とかそういうのを公開してくれてもバチは当たらないんじゃないかな。
どうも日声連が内輪で盛り上げてる感が少なからずあるんだけど（功労賞の辺りとか）、今後はいかにオープンに運営していくかというのが鍵になるような気がします。さらっと感想を書いているブログを巡ってみたところ、「デキレースじゃねぇか？」という声と「意外とそうでもなかった」という感想が半々くらいな印象がありますが、そんなことを言われないような賞に育てていく姿勢に期待したいものですね。
