オタクと一般人はわかりあえない

9月29日放送のNHK教育『一期一会 キミに聞きたい』を見ました。『真剣十代しゃべり場』亡き今、後番組としては微妙な感じが半年近く続いていたんですが、珍しく面白いテーマが巡ってきました。テーマは「オタクと偏見の話@池袋.乙女ロード」
てか、イチエさんの彼女は女オタクの代表としてはテレビ映りが良すぎるな。ばっちり化粧してるし、腰骨がセクシーだしで、対するイチゴくんの彼の方はそれだけで面食らったんじゃないかという気がしないでもないけど。

イチゴくん(体育会系男子)の彼が持ってる先入観って非常にステレオタイプというか、古くから非オタクの間で存在していて、かつ最近マスコミによって増長されたようなオタク像で非常にわかりやすい。一方のイチエさん(男装喫茶経営)の方は世の女オタクに比べると良くも悪くも異質なタイプなんだろうな。化粧の仕方とか女オタク相手のビジネスをしてるとか、乙女ロードに集う消費者の側とは明らかに一線を画しています。根がオタだというのは何となくしかわかりにくいのも玉に瑕。まあたぶんNHK的なセンスによる人選なんだろうけど。

どこまでありがちな先入観なのかは怪しいけど、オタクってのは総じて引きこもりであると思ってる人がいるんだなというのは改めて感じました。今も昔も行動力とコミュニケーション能力が無いとオタクなんかやってられないという事実って知られてないみたいです。そういう先入観を持ってる人たちはコミケなんかを見ても、あれが行動力とコミュニケーション力を源泉にしてるっていうことに気づけないんですね。マスコミによってなされるオタク批判で「仮想と現実の区別が…」みたいな論調があるけど、その考え方の方が仮想と現実の区別ができてないっていうのにいい加減気づいて欲しいもんです。本質的にはそれが区別できてるからオタクやってられるっていうのにね。

番組の展開上、最後は何となくお互いをわかりあえるということになって微笑ましいオチになるわけですが、でもそれって何となくなんじゃないかなって感じてしまうのがこの番組の悪い癖。絶対カメラの無いところで「やっぱよくわかんねぇな」とか言ってる出演者が過去にもいそうだぞ*1。今回の場合はイチエさんの方の誘導が上手かったのかな、それがまさにオタク流のコミュニケーション術であり行動力であるとイチゴくんの方が思ってくれればいいですね。
でもイチエさんは何がオタクの面白いのかをそれなりに説明してたけど、イチゴくんの方はたぶん最後まで微塵も理解できてない。彼もスポーツオタクに近いっていうことに気づいてるのかな。それでもやっぱり狭義でのオタク(アニオタとかアキバ系とかそういうのね)の価値観と普通の人が考えているものって、海よりも広い隔たりがあるんだろうなぁ。
それは前回のエントリーとちょっと関連するかもしれないけど、オタク文化に属するものって本来は子供のものであり多くの大人にとっては原体験にこそなっても大人が消費すべきものではないっていう確固たる先入観がはびこってるんだろうな。それはオタクの側も多数意見として認識しなければならないけど、逆に一般人もオタクをマイノリティだからと言って批判・糾弾していい理由にはならないと思います。ただオタクの価値観はオタクにしか理解できないし、オタクはなるものじゃなくて「気づいたらなってるものだ」とか「血でありDNAだ」とか言われるものだから、普通の人がおいそれと踏み入れられるものじゃないのも惜しいところ。本当は対象がスポーツだろうがアニメだろうが、根幹とか情熱の源泉の部分はそんなに大差ないはずなのにね。

*1:明らかに決裂してたのも何回かあった気がするけど