ハルヒフィーバーはある種の「バブル」なのではないか

はてブより。『涼宮ハルヒの憂鬱』の初版本に20,500円もの価格がつくっていうのは、ある種の危機感を感じざるをえないなぁ。
週末に角川ホールディングスの株主総会があったようで、会長から『ハルヒ』に対するコメントがあったらしいです*1。アニメ効果も手伝ってたぶんシリーズ累計だと思うけど260万部だそうな。今期は『ダヴィンチコード』と併せて稼ぎ頭になることは確実。DVDも5万本売れたというし、これもたぶん累計で30万本くらいいくだろうなぁ。今は平成18年3月期の決算報告しか出てないけど、きっと平成19年3月期の第1四半期報告辺りからは書類の中に『ハルヒ』の文字が躍ることになるでしょう*2。長者番付が公開されなくなっちゃいましたが、公開されてたら谷川流が小説家部門でランクインしてたなんて可能性もあるでしょう*3

今のこの人気はアニメのいろんな意味での超越っぷりに起因するやや過熱気味の人気なんじゃないかなという気がしてならないのですよ。何度か書いた気もしますが、原作小説は大賞受賞&出版後しばらくして、いわば「ラノベ好き界隈」で話題になり始めたころに買って読んでみたんですが、そう積極的に評価できる要因を感じられなかったというのが正直なところだったんですよ。その前後数年の流行を上手く取り入れて構成されてる設定だなぁというのがまず来てしまって、それなりにインパクトを感じさせる書き方はしてたんですが、何か物足りなさを感じていました*4。続編も何冊か読んだけど、一作目に比べておとなしくなったような感があって、個人的な評価はあまり伸びませんでした。ちなみに『学校へ行こう』は今なお未読です。
あとトラウマに近いものがあり、かつある程度共感できる人もいるのではないかと思うのですが、神坂一のデビュー作『スレイヤーズ』を引っ張りに引っ張りまくった結果、終盤ぐだぐだになりつつあったというのを思うと、ラノベのデビュー作を続編で引っ張るのは慎重にならなきゃいけないんじゃないかと思っています。『退屈』『消失』辺りでそれを感じて、以降未読のままになってしまってたりして。まあ今回アニメ化されたいくつかの短編エピソードを見ると杞憂だったのかなという気がしないでもないですが、原作が元々持っていたポテンシャルをアニメが見事に引き出したという言い方もできてしまうかもしれません。

アニメに関しては作画・演出クオリティが超人的だという点だけでも、非常に高い評価をしていいと思うんですが、作品のストーリーそのものに関しては今ラスト前の状態でシリーズ一作目を消化したところで終わることが確実となっていることを思うと、その評価って非常に付けがたいのではないかと思います*5
アニメの方は原作通りに粛々とまとまっていくと思うので、個人的興味は原作がこのシリーズにどういうオチをつけるのかというところに移ってるのかもしれません。でも8巻まで出てまだ物語内の時間軸で1年足らずなんだよねぇ。いろんな方面に風呂敷を広げまくってる気がするので、人気化延命されたきらいのあるデビュー作でそれがちゃんとまとまるのかなという気がしてならんのですよ。でも谷川流は応援してますよ。人気をあまりプレッシャーに感じないでがんばってください。
早くAmazonから残り4冊来ないかな。*6

*1:ソースは2ちゃんねる株式板のアニ株スレですが

*2:ちょっと角川株欲しいけど、3400〜4200円の間のボックス気味で、今日の終値が4040円だから悩ましい。ハルヒダヴィンチの力で突き抜ける気がしないでもないけど

*3:過去、神坂一が『スレイヤーズ』がブレイクしてた頃にランクインしてた

*4:当時、いまだに『君が望む永遠』を引きずってたのもあるのかな。このネーミングは絶対に意識してるぞ

*5:だからこそ早くも続編待望論があるのかもしれませんが

*6:結局買った