最新「ハピマテ」はオリコン4位

魔法先生ネギま』OPの「ハッピー☆マテリアル 5月度」をオリコン1位にしようという運動が一段落を向かっています(7月と8月もやるんだろうけど)。本スレを追うわけでもなく、まとめサイトを眺めているだけなんですが、デイリーランキングで初登場3位、ウィークリーでは4位という結果を含めて考えてみるとある種の滑稽さを感じずにはいられません。

アニソンがオリコン1位を取ることは革命か?

「荒廃した邦楽業界に革命を起こす事を主な目的」とされているこのプロジェクトですが、そもそも邦楽業界は荒廃しているかというのが第一の疑問。「アニソン等が上位に入ると、紹介が極端に短かったり、最悪の場合は存在自体無かった事にされる」という事実は私自身も十年くらい前、ちょうど林原めぐみTWO-MIXオリコン上位に食い込んでいた時期から感じていたことではあります。ただそれは「ランキング番組向けの映像素材を用意していない」というアニソン側の事情によるところが大きいのではないかと推測します。「そんなことをしなくても想定通りの売れ方をするであろうから、凝った素材でじっくり紹介される手間をかける意義が少ない」というアニソン側の事情の方が、「そんなのちゃんと紹介しても視聴率取れないよ」というテレビ局側の事情よりも大きいのではないかと思います、あくまで推測ですが。
そんなところから「歪んだランキング」という印象を生み、ひいては「荒廃した邦楽業界」という印象を与えているのではないかなと思うわけです。少なくとも関連サイト等を確認した限りでは「何をどうもって『荒廃している』か」を明言しているところは見受けられませんでした。
そしてオリコンチャートという売上数をベースにした比較的信頼できるソースによるランキングを、組織票によって1位にしようという活動は本末転倒な印象を拭えません。むしろちょっとした組織票くらいで動いてしまうランキングの方が荒廃しているのではないかとさえ思います。

誰のための運動?

この運動の結果が誰かのためになっているのかというとこれも疑問が残ります。トップを取ろうが取るまいが、それは一部のオタク(というかVIPPER?)のエゴにしかならないのではないかと感じてしまいます。まず4月度までの段階で最高3位まで食い込んだ「ハッピー☆マテリアル」の企画意図とある程度の商業的成功についてはもっと評価されても良いように思います。同じ曲を歌い手とアレンジを変えながら7ヶ月連続リリースという企画は音楽業界においてそうある例ではありません。700円強という低価格戦略や『ネギま』という作品そのものとファン心理をうまく捉え、平均して各3万枚前後、累計にすれば20万枚近くの売上を上げることになると予想されます。これは立派な成功と言って良いように思います。
制作者側にとってこの運動が嬉しいことなのかどうかは難しいところです。単純に売上数という側面でだけ見れば組織票とはいえ上がるので嬉しいという点は事実かもしれません。しかし不明瞭な目的のまま企画意図などへの理解も作品に対する評価もされずに、いたずらに売上数だけが上積みされるというのは素直に喜べないのではないかと思います。
仮にこれが1位を取ったとしても、例えばオタクに対する認識が向上したりするということはなく、むしろこの運動がもっと大々的に報じられると(ましてや事実上の失敗も含めて)、なおさら奇異の目で見られてしまうおそれすら感じずにはいられません。

そもそもトップの可能性はあったのか?

この5月度の初週売上は約4.5万枚と報じられています。前月の売上枚数は約3.3万枚なので1万枚強が上積みされた計算になります。一方、トップに輝いたORANGE RANGEの「お願い!セニョリータ」は約24.2万枚とのことです。20万枚近い差は大差といって差し支えないでしょう。一時期のように初週に100万枚以上を売り上げるということが少なくなったとはいえ、1位を取るためにはかなりの数を売り上げなければならないのは確固たる事実です。ここ数週だけを見ても7万枚程度はないとトップはとれません。
前々からオタクのCD購買力の限界は20万枚くらいではないかと考えています(特に明確な根拠があるわけではありませんが、過去のTWO-MIX林原めぐみなどのアルバム実績より)。またキャラソン的なものだと主題歌とはいえ、そこまでの購買力を発揮することは難しかったのではないかと思います。この運動の結果が「前作比+1.2万枚」というのがどう評価すべき数字なのかは難しいところがありますが、このプロジェクトの目標値はかなり高かったと考えるのは容易でしょう。

では意義はあったのか?

このプロジェクトの意義はあったのかと考えると、個人的には前述のような「目的の不明瞭さ」を主な要因として積極的な意義を見いだせません。むしろ一部の人たちの騒ぎ方が「オタク」なり「2ちゃんねらー」なり「VIPPER」に対して良くない印象を与えてしまったという感さえ拭えません。とはいえ、このプロジェクト自体が華麗にスルーされてしまうんではないかという予感さえしますが。

ちなみにアニメの『ネギま』について

一応、毎週見てるんですがこの作品や赤松健に対して特別な思い入れはないので、これといった感想もなかったりします。ただ基本的にはほのぼのとしたラブコメ風味を漂わせながら、赤松健らしいのかなと思える作風が楽しめる部分はありますが、特にラストが見え始めたここ何回かのエピソードでストーリーの急激なシフトチェンジがあったように感じられて、どこか違和感を感じてしまいます。こういう作品ってどうして「永遠の愉快な日常」みたいな話にできないのかなぁ。それでもいいような世界観だと思うんだが。